私の両親はアルツハイマー型認知症だったのですが、私はレビー小体型認知症の疑いがあって昨年検査を受けてきました。
現在は経過観察中なのですが、認知症の原因は不明だと知ってしまったので、治療法もないのではないかと不安に思っているところです。
認知症の種類と症状別の治療法についてまとめました。
認知症の種類と症状は?
認知症の種類には、アルツハイマー型認知症・脳血管型認知症・レビー小体型認知症があります。
このうち約60%はアルツハイマー型認知症、約20%は脳血管型認知症、約10%はレビー小体型認知症、残りの約10%はその他の認知症となっています。
認知症の種類別にその症状を記載します。
アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型認知症は、脳の広範囲に変化が現れ神経細胞が死滅していくことが原因だと言われています。
画像検査では海馬を中心に脳の萎縮が見られます。
特徴的な症状
●物忘れなどの認知機能障害
アルツハイマー型認知症の代表的な症状が物忘れです。体験そのものを記憶することができないため思い出す事が出来ません。
私の母は認知症でしたが、姉が1日おきに車で様子を見に行ってくれていたので、父が亡くなってから一人暮らしをしていました。
姉はいつも「今から向かうけど、何が食べたい?何時頃に着くよ」などと、電話連絡をしてから買い物をして母を訪ねてくれていたのですが、ある日、電話をしたところ応答がありませんでした。
トイレに行っていたり、庭に出ている場合は電話に出られないこともあるのですが、嫌な予感がした姉は、母の好きな惣菜をささっと購入して、旦那さんと一緒に車で急行してくれました。
実家に到着し、(防犯上は良くないのですが)いつもインターホンを押すとインターホンには出ずにいつも直接出てくるはずの母が出て来ず、合鍵でドアを開けたところチェーンがかかっていたので、てっきり倒れているのかと思い、「お母さん?どうしたの?大丈夫?」と恐る恐る声をかけると「どうもしないわよ。大丈夫よ。」と元気な返事が返ってきたのです。
「どうしてチェーンがかかってるの?大丈夫ならチェーンを外してよ」というと「今、行くわよ」という返事は聞こえるのですが、一向に母が玄関に来る気配がなく、「どうしたの?」「どうもしないわよ?」の押し問答に痺れを切らした姉が、母の部屋の雨戸を外からあけてカーテン越しに覗いたところ、母はまだベッドに横になっているのです。
意識はあっても動けない状況なのだけれど、母本人がなぜ動けないのかが分からないので、姉は外に落ちていた石で窓ガラスを割って鍵を開けて中に入って、母の体をチェックしたところ、どうやら足が痛くて動けないらしいので、救急車を呼ぼうとしたら「救急車は嫌よ!」と我儘を言うので、義兄と一緒に母を車に乗せて整形外科を受診したところ「大腿骨が折れてますよ」という診断でした。
そのまま入院して、後日手術をしてもらったのですが、恐らく、夜中か明け方にトイレに起きて転んで大腿骨を骨折したのだけれど、転んだことそのものを母が記憶していなかったためにこのような事態になったのだと思われます。
●判断能力の低下
アルツハイマー型認知症になると判断力も低下します。
母は、骨折する前、車で買い物に連れて行くと食材を購入するのですが、いざ作ろうとすると、どんな食材や調味料を使うのかや手順が一人では分からなくなって、料理自体が出来なくなってしまいました。
ごみの分別や片付け方が分からなくなり、部屋が散らかり放題で、臭いにも鈍感になり、夏場は台所にショウジョウバエが飛んでいることもありました。
●見当識障害
見当識障害は当日の日付が分からなくなったり、時計が読めなくなる状態です。
母の場合は、部屋が散らかっていても当日の新聞を置く場所だけは決まっていたので、最期まで当日の日付と曜日だけは認識することができていました。
また、自分がいる場所が分からなくなり、良く行く場所でも迷子になったり、家の中でもトイレの位置が分からず、トイレの前に立っていてもドアが分からなくなり、失禁してしまう場合もあります。
父の場合は、まだ認知症状が出ていない頃の母に「トイレ(大)に行って来る」と言ったのに、トイレの手前の台所で何やらガサゴソ音がするので、不審に思った母が台所に行ってみると、3ドア冷蔵庫の一番下の引き出しを開けて【大】をしてしていたこともありました。
そのほかにも、
●物を盗られたと妄想してしまう
●徘徊:自分の居場所が分からなくなり、帰り道を探しているうちに迷子になってしまう
●取り繕い:抜けた記憶を補おうとする行動(他者には嘘や言い訳に聞こえてしまう)
という行動をするようになる場合が多くあります。
ご家族や周りの方の対応
アルツハイマー型認知症の方ご本人は、話をしたこと自体を忘れてしまうので、同じ話題を何度も繰り返し聞いたり話したりします。
私や姉もそうでしたが、ご家族や周りの方はついつい「さっきも返事をしたよ。何度も同じ話を聞いたよ。」などと冷たく言い放ったり、ウンザリした顔をしてしまいがちです。
本人は物事は忘れてしまっていても、家族や周りの方に嫌な事を言われたと思ったり、叱られたという不快感だけは残ってしまうため、うつ症状に繋がる可能性があるので、家族や周りの方は本人が繰り返す話題に出来るだけ付き合ってあげたり、ストレスがたまらないように話題を変えてみることも大切になります。
脳血管性型認知症
認知症の約20%程度を占める脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血などが原因で、脳の血液循環が悪くなって脳の一部が壊死してしまうで、脳の機能が低下して、認知症や運動障害が引き起こされます。画像検査で脳の壊死部分を確認することができます。
脳血管性型認知症の原因となる血管障害は生活習慣病が原因で引き起こされるため、高血圧・高脂血症・糖尿病などにならないように生活習慣の改善することで、脳血管性型認知症予防に繋がります。
また、脳血管性認知症の原因となる脳血管障害を早期に治療してリハビリを行えば、症状の進行を抑えることも可能です。
特徴的な症状
脳血管性認知症は、影響を受ける脳の部位が限られているため、できることとできないことがはっきりしていることが特徴です。
初期症状としては、意欲や自発性の低下や、夜間の不眠や不安感が目立ち、どれも症状の変動が激しい場合が多くみられます。
非常に小さな脳梗塞や脳出血の場合には、自覚症状を感じてもふらつきやめまい程度のため、あまり気がつかないことがあります。
中期以降の症状としては、発作が起こる度に症状が段階的に重くなり、ダメージを受けた脳の部位によって認知症の症状は異なります。
そのほかにも、
●まだら認知症などの認知機能障害
●手足のしびれや麻痺
●感情のコントロールがうまくできない
といった症状があります。
レビー小体型認知症
レビー小体型認知症は、レビー小体というたんぱく質が脳にたまって神経細胞が死滅してすることで起こる脳の萎縮が原因だと言われていますが、画像検査では脳の萎縮は見みられないことが多いです。
なぜ、異常なたんぱく質が脳にたまるのかはまだ解明されていないのですが、認知症を伴うパーキンソン病は、このレビー小体型認知症だということが最近分かってきました。
特徴的な症状
レビー小体型認知症の特徴的な症状は、体の動きが緩慢になるパーキンソン病に似ていて、体の硬さを伴った歩行障害があるため、転倒しやすくなります。
調子の良いときは周りの方との会話が成り立つのですが、調子が悪くなると会話が成り立たなくなったり、周り方のことも分からなくなったり、気分・態度・行動がころころと変わる認知の変動が出現します。
モノクロではなくカラーの、鮮明な人間・動物・虫などが昼夜問わず現れる幻視や、幻視に加えて幻聴も聞こえる場合があり、睡眠中に見た夢に合わせて、手足を動かしたり、歩いたり、踊ったりといった睡眠時の異常言動が出現する場合もあります。
私が経過観察中の病気がこのレビー小体型認知症なのですが、診察時に医師から「見えるはずのないものや聞こえるはずのないものが、見えたり聞こえたりすることは、まだないですよね!?」と質問されるのですが、「まだないですよね!?」と聞かれると、いずれは見えたり聞こえたりするのかもしれないと感じてしまい、通院するたびに暗い気持ちになってしまいます。
そのほかにも、
●妄想
●うつ状態
●自律神経症状
などが、レビー小体型認知症の特徴的な症状としてあげられています。
調子の良い時と悪い時を繰り返しながら進行する場合と急速に進行する場合があります。
認知症は原因不明って本当?
認知症は、さまざまな原因で脳の働きが悪くなったり、脳の細胞が死んでしまうために障害が起こり、生活に支障が起こる状態のことを指します。
認知症は病名ではなく、風邪と同じように、喉の痛み・咳・鼻水・発熱などの症状が見られても、はっきりとした原因が分かっていない症候群なのです。
認知症の治療法はあるの?
認知症を完全に治す治療法はまだありませんが、症状の進行を遅らせることはできます。
認知症の治療法は、薬物療法やとリハビリテーションなどの非薬物療法のほかにも、ご家族や周りの方が適切なケアを行うことも重要になってきます。
不安・妄想・不眠などの症状を軽減・改善して進行を遅らせることで、本人が穏やかに生活することができますし、何より介護者の負担を軽くすることにも繋がります。
両親は、コリンエステラーゼ阻害薬の中でも、軽度から高度のアルツハイマー型認知症に適応があるとされる、アリセプトというお薬を1日1回内服していました。
アリセプトは、現在、レビー小体型認知症に適応がある唯一の薬となっているので、私がレビー小体型認知症を発症してしまったら、このお薬を服用することになります。
さいごに
私は長年、体が不自由な姑の介護と、認知症の実家の両親の介護に関しては姉のお手伝いをしてきました。
私が今後、認知症や寝たきりになってしまった場合は、娘たちの自由を奪いたくないので、施設に入れて欲しいと頼んであります。
娘たちも幼い頃からおじいちゃんやおばあちゃんの不思議な行動を見てはいたのですが、実際に私が同じ状態になってしまったら戸惑うと思います。
認知症を発症してから施設に入れてもらえるまでには時間がかかるので、認知症患者特有の行動や認知症という病気を十分に理解してもらえるように、今から時間をかけて少しずつ娘たちに説明をしていきたいと思っています。
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