
インフルエンザ薬イナビルの使い方と注意点
インフルエンザの治療薬として、タミフルについで多く使用されている薬がイナビルです。
1回の使用で服用が完了することがイナビルの最大の特徴で、服用の手軽さから人気が高まっています。
イナビルの使い方と注意点と、異常行動に関する注意喚起についてまとめました。
インフルエンザ薬イナビルの使い方
インフルエンザウイルスは喉や気管支で急速に増殖するため、口から吸入するインフルエンザのお薬イナビルは、喉や気管支に直接届いてウイルスの増殖を抑えるメリットがあります。
イナビルは長時間効果が続くタイプの薬なので、10歳未満は1容器20mgを1回分として、10歳以上は1容器20mg×2本=40mgを1回分として吸入するだけで治療は終わりです。
5日間飲み続けなくてはいけないタミフルやリレンザとは違って、飲み忘れを防ぐことができます。
インフルエンザ薬イナビルの手順と注意点
インフルエンザ薬イナビルの使い方の手順と注意点を記載します。
・まず、薬剤トレーをスライドさせない状態で、吸入前に薬剤をすべて底面に集めるために、机やテーブルに薬剤容器をコンコンコンコンと軽く打ちつけます。薬剤師さんの指示で、1本につき50回以上打ちつけました。
・ラベルを剥がさずに薬剤トレー[1]を矢印の方向へしっかりとスライドさせます。
・底面の空気孔をふさがないように注意して薬剤容器を持ち、軽く息を吐いてから吸入口を奥までしっかり咥えて「スーーーッ」と大きく吸って2~3秒息を止めたあと、ゆっくりと(できれば鼻から)息を吐きます。
・薬剤トレー[2]も矢印の方向へしっかりとスライドさせて吸入し、2本目も薬剤トレー[1]と[2]を矢印の方向へスライドさせてそれぞれ吸入します。
・吸入回数は通常、薬剤トレー[1][2]ともに5回ずつ行うそうなのですが、私の主治医は吸い残しがないように10回ずつ、合計40回吸入をするように薬剤師さんに指示をしているとのことでした。
インフルエンザ薬イナビルの異常行動に関する注意喚起
インフルエンザ発症後に、抗インフルエンザウイルス薬の服用の有無にかかわらず、突然走り出す、飛び降りる、事故に繋がったり他人に危害を加える可能性がある行動などの異常行動が報告されており、2012年2月には、イナビルを処方された10歳代の患者さんの転落死が報告されました。
イナビルの製造販売元の第一三共株式会社が、因果関係は不明としながらも、インフルエンザの治療のためにイナビルを吸入した後の異常行動の症例を報告しています。
いずれも、小児・未成年の患者における異常行動の症例報告のうち、家族の制止により事故を防ぐことができた事例です。
【事例1】
昼にイナビルを吸入した夜に、患者がうわ言を繰り返すため家族が付き添っていた。就寝時に患者が突然起き上がって階下に駆け下りて、外に飛び出そうとしたため、家族が制止して寝かせた。熱が下がると同時に落ち着いた。
【事例2】
夜にイナビルを吸入して就寝し、翌朝、目覚めてすぐ家の外に出たため、家族が制止して家の中に連れ戻した。
【事例3】
会話中、突然話が通じなくなったり、無いものが見えたり、怯えたり、わめいたり、といった行動や、無意味な動作の繰り返しがあった。夕方にイナビルを吸入した夜、寝起きの時に、奇声や大声をあげて、ベランダに出ようとしたり、二段ベッドに登るなどの異常行動があったため家族が制止した。
そのほかにも、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、徘徊する、ウロウロする、飛び降りや転落に結びつくおそれがある重篤な異常行動を認めた症例が5例報告された。
さいごに
私が診療所に勤務しているときに、患者さんが錠剤をシートから取り出さずに飲んでしまったり、座薬を正座して飲んでしまったり、うがい薬を飲んでしまったりといった、「有り得ない!」と思うような事例がありましたが、イナビルを鼻から吸入したり、どうやって飲んだのか、経口服用してしまった事例が報告されています。
私も次女も、調剤薬局で薬剤師さんに教わりながらその場でイナビルを吸入しました。
もうかかりたくはありませんが、「次回インフルエンザになったときもイナビルがいいね♪」と、その場で治療が終了するイナビルが2人とも気に入ってしまいました(^▽^;)
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