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行政解剖には遺族の承諾が必要?不審死の場合は司法解剖が行われます

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行政解剖と司法解剖の違い 暮らし/衣・食・住
行政解剖と司法解剖の違い

行政解剖と司法解剖の違い

行政解剖と司法解剖の違い


先日終了した、石原さとみさん主演の『アンナチュラル』は、不自然死究明研究所(UDIラボ)という架空の組織を舞台にしたテレビドラマで、解剖医が不足していることで不審死が見過ごされている日本の現状がテーマになっていました。

私の父が脳幹梗塞で病院で亡くなったときは、医師から解剖をさせて下さいと依頼されたのですが、病名もはっきりしていたのでお断りしました。

その数年後に、一人暮らしをしていた母が自宅の玄関の外で倒れて亡くなったときは、不審死ということで警察が介入し司法解剖が行われました。

行政解剖と司法解剖の違いについてまとめました。

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行政解剖には遺族の承諾が必要?

死因を特定するために解剖は有効な手段ですが、よく耳にする行政解剖以外にもいくつか解剖はあり、遺族の承諾が必要な場合と、必要としない場合があります。

病理解剖

病理解剖は、病院の中で患者が亡くなった場合、病気の進行状況や検査結果との整合性を確かめて、正確な死因を明らかにするために行われる解剖で、遺族の承諾が必要です。

承諾解剖

承諾解剖は、監察医制度のない地域で、医大の法医学教室が中心となって行う、犯罪性のない遺体の死因を究明するための解剖で、行政解剖や司法解剖と異なり遺族の承諾が必要です。

行政解剖

行政解剖は、犯罪性の疑いが認められない場合に適用される、外見だけでは死因が判断できないときに行われる解剖で、遺族の承諾が必要になりますが、場合によって例外もあります。

食中毒で亡くなった人が出た場合、食品衛生法に基づき、自治体の責任者が、解剖医に行政解剖を行わせます。原則、遺族の承諾が必要ですが、重大な被害が出ている場合は、承諾なしに解剖をするケースもあります。

また、船や飛行機などで伝染病で亡くなった人が出た場合、検疫法に基づき、検疫所長が、検疫官などに行政解剖を行わせます。遺族と連絡がつかない場合は、承諾は不要となっています。

行政解剖と司法解剖の違いとは?

行政解剖とは異なり、司法解剖は、犯罪の可能性が認められる遺体について、損傷の程度・死後経過時間などから死因を明らかにするために行われる刑事訴訟法に基づく解剖です。
 
遺族の承諾を得て行われることが多いのですが、裁判所の許可があれば強制的に行われることもあります。
 
司法解剖の結果で事件の真相が解明できたり、裁判の証拠に重要な影響が出るため、原則、大学病院の医学部で、法医学者によって行われます。
 
病気ではない異状死の場合、検視によって犯罪の可能性の有無を判断しますが、犯罪の疑いのないことが明らかになった場合は行政解剖へ、犯罪の疑いがある場合や、自殺か他殺かの判断がつきにくい場合は司法解剖になると、法律上では決められているのですが・・・
 
 
異状死の解剖率は、フィンランドやスウェーデンでは80%以上、イギリス・フランス・オーストラリアでは50%以上にという状況に比べ、日本での解剖率はわずか10%前後です。
 
フィンランドでは異状死体の血液や胃の内容物などが、一定期間冷凍保管されるなど管理が徹底していますが、日本では、解剖の予算も保管のルールもないに等しく、解剖医の人数は獣医師よりも少ないという現状です。
 
高齢化社会が進んだ日本では、死因が特定されない孤独死や衰弱死、自殺の数は増加傾向にありますし、検視で自然死や自殺と判断されてしまえば遺体が司法解剖されることはまずありません。
 
このような状況では、異状死や自然死や自殺に見せかけた偽装殺人事件を見逃す可能性があると、20年以上も前から指摘されています。

行政解剖で死因不明な場合や不審死の場合は司法解剖が行われます

前章のような理由で、実際に行政解剖が行われている件数自体が少ないのですが、行政解剖中に犯罪の可能性が出てきたら、解剖を中止して司法解剖の手続きを取り、司法解剖にまわす必要がありますし、不審死の場合は最初から司法解剖が行われます。

私の母の場合は孤独死でも、玄関の外で倒れていたので不審死の扱いになってしまったのだと思います。

母は週3回、デイケアに通っていて、亡くなる前日もデイケアの職員さんが車でお迎えにきてくれたのですが、気が向かなかったのか「今日はデイケアはお休みします」と断ってしまったのです。

認知症だったため、自分で断ったことを忘れてしまい、来るはずのないデイケアのお迎えの車を、玄関の外に置いてある椅子で一晩中待っていたのです。

明け方、犬の散歩をしていた近所の方が、救急車を呼んでくれたのですが、すでに心臓は停止していました。
 
 
病院で母の遺体の解剖が行われている間、姉と私は警察の事情聴取や実況見分に立ち会うことになりました。

生前の母の病状や生活について細かく聴かれ、家の中の写真撮影もされました。

母が倒れていた場所に、第一発見者の証言に基づいたポーズで警察の方が横になり、どのような状況だったかを確認していました。
 
 
母が持っていたバッグの中に家の鍵がなかったことと、いくら認知症だからといって、「寒いから鍵を開けて家の中に入ろう」と、考えなかったのだろうかと、ずっと不思議に思っていたのですが、横になった警察の方が伸ばした右手の先に落ちていた鍵を見つけて下さいました。

そのときに、母の解剖結果が警察の方へと入ったのですが、「死因は凍死で事件性なし」とのことでした。

発見時に横になっていたのも、バタンと倒れたのではなく、手の平の血液の状況からも、何らかの理由で、自分の意思で、一旦地面に手をついてから、横になったのだろうという見解でした。

街灯の明かりもなく真っ暗だったので、落としてしまった鍵を手探りで拾おうとして横になって力尽きてしまったのではないかという見方がされ、実況見分が終了しました。

さいごに

父が亡くなったときは、症状から病名も分かっているのだし、苦しんで亡くなった体にメスを入れるのは可哀想と感じましたが、母の場合はそもそも司法解剖なので断ることはできませんが、死因がはっきりして良かったと思いました。

今も、「ああすれば良かった、こうすれば良かった、冬じゃなければ亡くなることはなかったのに・・・」と後悔していますが、警察の方が、「恐らく、認知症のせいで、寒さも怖さもあまり感じず、横になっているうちに眠ってしまったのだと思いますよ」と私たちにかけて下さった言葉が救いになっています。
 
 
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